食物栄養科かわらばんVol.50(16.1.28)食育ゼミナール(井部ゼミ)の活動紹介

井部 奈生子 准教授

戸板女子短期大学では、「食育」に関するゼミナールを積極的に開講しています。ゼミでは、主体的な取り組みや学生同士の学び合いを通して、専門知識だけでなく、自ら課題を発見する力やコミュニケーション能力を養います。本年度の食育ゼミナール(井部ゼミ)は、幼児期、学童期の子どもの食と栄養をテーマの一つとしました。
健康の重要性が強調される中で、小児期の食生活は生涯にわたる健康を築く基礎となります。ゼミ生は、幼児期、学童期の子どもの特徴をつかみ、各成長段階に合わせた「食育」の企画・運営をしました。

 

子どもの各成長段階における食育を評価する際の観点

幼児期-食べる意欲を大切に、食の体験を広げよう-

○おなかがすくリズムがもてる
○食べたいもの、好きなものが増える
○家族や仲間と一緒に食べる楽しさを味わう
○栽培、収穫、調理を通して、食べ物に触れはじめる
○食べ物や身体のことを話題にする

学童期-食の体験を深め、食の世界を広げよう-
○1日3回の食事や間食のリズムがもてる
○食事のバランスや適量がわかる
○家族や仲間と一緒に食事づくりや準備を楽しむ
○自然と食べ物との関わり、地域と食べ物との関わりに関心をもつ
○自分の食生活を振り返り、評価し、改善できる

厚生労働省:
楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド~,
「食を通じた子どもの健全育成(-いわゆる「食育」の視点から-)のあり方に関する検討会」報告書についてより

 

レシピの考案

 

レシピについての意見交換

 

ゼミでは、「料理を通して子どもとコミュニケーションが図れるようなレシピを作りたい」と話し合いがまとまりました。レシピの評価は、楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド~の「子どもの各成長段階における食育を評価する際の観点」を用いました。レシピは何度も試作を繰り返しながら1.材料が簡単に手に入る、2.自宅で作りやすい、3.子どもの嗜好をとりいれつつ栄養価も配慮するという三つの事項も加え、検討を重ねました。

 

試作品①

 

試作品②

 

試作品③

 

試作品④

 

試作品⑤

 

レシピ作成だけでなく「家族や仲間と楽しみながら料理で使用する食材に関心を持ってもらいたい」と考え、食品のクイズも試みました。食品の説明は、子どもと保護者の両者が理解しやすい点から三色食品群を使用しました。引き続き、来年度のゼミ活動でも三色食品群クイズを発展させていく予定です。

 

三色食品群クイズの実施

 

三色食品群クイズの答え合わせ

 

2015年度 戸板祭では、Web会議システムのひとつ‘OpenMeetings’を用いてゼミの活動報告をしました。当日は、戸板女子短期大学父母の会より特別賞を、戸板祭実委員会よりポスターにおいて優秀賞をいただくことができました。

 

Web会議システムを使用した活動報告

 

特別賞

 

優秀賞

 

ゼミ活動では失敗もありましたが、多くのことを学びました。ゼミ生は、様々な体験を通して「もっと知りたい」、「誰かに伝えたい」などの興味や関心が深まり、理解したことを積極的に試してみようとする力が育ちました。メンバーがお互いに得意なこと、不得意なことを補い合うこともできたので、皆で成長することができました。

 

 

担当 食物栄養科 井部奈生子

井部 奈生子 准教授

食物栄養科

「食」に携わる者として、食を提供するだけでなく、食の心をも提供したいと思っています。理論のうえに立って、具体的にどのようなものを、どのくらい、どのようにして食べてもらうのか、食事計画を通して一緒に考えてみましょう。