食物栄養科かわらばんVol.49(15.12.21)全国うどん紀行

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日本全国には、その風土にあったさまざまな伝統料理があります。今では日常的に食されるうどんは、鎌倉時代にその原型が登場する歴史の長い食べ物のひとつです。食べ方でもうどんは、きつねうどん、鍋焼きうどん、ざるうどん、釜揚げうどん、最近ではオシャレにサラダうどんなども登場しています。
うどんは、小麦粉と塩と水を原料として作られます。原料がシンプルなことからうどん作りは、簡単に見えます。しかしその製法は、温度や加水量、熟成時間といった変動要素が多く、形状が太い、細い、平べったいなど各地で代々受け継がれてきた技がいきています。今回は、その中で各地の名物うどんを紹介します。

 

1 稲庭うどん(秋田県)
稲庭うどんは、300有余年の歴史を持つ手延べ干麺で、うどん作りの原点であり、その製法は代々秘伝とされています。秘伝とされる製法ですが、練る・切る・綯う・延ばし・乾燥・裁断の工程がほとんど手作業で行われます。その工程は、一つ一つが大切で、少しでも手を抜いては美味しいうどんはできないといわれています。稲庭うどんの特長は、茹であがりが早く、煮くずれがしない、できあがりが乳白色でつるつるとした光沢があり、コシが強く、のど越しの良いことがあげられます。

 

 

 

2 水沢うどん(群馬県)
水沢うどんは、上州の榛名山麓の水沢で400年の歴史を持つ手打ちうどんです。現在も榛名山麓の水沢観音の周辺、通称水沢うどん街道に名物・水沢うどん屋が軒を並べています。製法は、職人の勘を重視し、多加水の生地に入念に繰り返される足踏みと十分なねかしの工程にあります。水沢うどんの特長は、適度なコシと弾力、麺肌は透き通る白色でつるつるし、のど越しの良い味わいです。水沢うどんは、山菜を添えて出すのが一般的で醤油味が主流ですが味噌だれやごまだれもあり、夏でも冬でも冷たいうどんが原則です。

 

 

 

3 ほうとう(山梨県)
ほうとうは、各地に似たようなものがありますが、その中で山梨県の「うまいものだよ、かぼちゃのほうとう」として有名で郷土食と定着しています。 そもそも甲州は、山国で稲作は限られ、麦や蕎麦等の雑穀が主食でした。そこで小麦を美味しく食べる方法として、戦国時代の武将、武田信玄が甲州に出入りしていた高僧から伝えられた饂飩(うどん)を野戦食に採用したのが始まりとされています。一般的なかぼちゃのほうとうは、だし汁にかぼちゃ、しいたけ、季節の野菜等、生のうどんを入れ味噌を入れて煮込みます。その味は、独特のうどんと具材が汁と一体化して、体の芯まで温まります。

 

 

 

4 きしめん(愛知県)
きしめんは、名古屋の名物として味噌煮込みうどんと共に有名です。そもそもきしめんは、平打ちのうどんに青菜と油揚げを入れたそぼくな味が庶民的に受け入れられ名物となりました。由来については、キジの肉を入れた「きじめん」から発展した説や紀州の出身が名古屋で作った「紀州めん」からの説やさまざま諸説があります。製法は、小麦粉を練る時の塩水の濃度の高さと延ばしに使う麺棒の細さに特長があります。きしめんは、平打ちの軟らかい幅ひろの麺でだしと調和は絶品です。

 

 

5 讃岐うどん(香川県)
讃岐うどんは、最も全国的に有名なうどんの一つです。讃岐の人々は、うどん好きで有名で全国平均の3倍もうどんを食べます。また讃岐がうどんの本場として言われる理由は、うどん自身が美味しいこと、そしてその土地の人々がこよなくうどんを愛したことがあげられます。その特長は、コシが強くしかも軟らかく、歯切れもよいところです。
製法は、手打ち又は手打ち式で、加水量が多く40%以上、熟成時間が2時間以上、茹で時間も15分以内とされています。

 

 

 

 

 

 

管理栄養士・博士(食品栄養学)
谷口裕信

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職員
広報部

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