戸板女子短期大学で「マルかバツか」ではない「内なる自分」を見つける体験を

戸板女子短期大学公式

2018年4月から戸板女子短期大学総合教養センターに入職した村木 桂子講師。明るく朗らかな村木先生は、学生の人気も高い先生です。大学卒業後、秘書を経て日本語教育の資格を取るため大学院に入学した村木先生が戸板女子短期大学の学生に伝えたいこととは。

お互いがお互いを想いあって、戸板女子短期大学のために一緒に働いている

戸板女子短期大学には、予備知識なしに、真っ白なまま入職しました。

入職後は、すべてが「キラキラ」して見えました。現在でもキラキラは、進行中です。地味な私にとって、戸板女子短期大学は常にキラキラとまぶしい活気に満ち溢れている場です。戸板といえばまず、明るい!朗らか!そして、女の子らしい!こういうキーワードになりますでしょうか。

世の中で発揮できる女性の力はとても大きなものだと感じています。戸板女子短期大学の学生たちの明るさからくるエネルギーは社会に出てからも大いに役立ち、卒業生たちは大いに社会貢献する存在になっていくのだと確信しています。

また、私が戸板のキラキラと共に、入職以降ずっと感じ続けていることは、教職員のコミュニケーションの良さです。「教員だから」「職員だから」という壁は、戸板女子短期大学にはありません。お互いがお互いを想い合い、この短大のために一緒に働いているんです。

こうした和やかな空気感は、必ず来学された方に伝わると思います。学生はもちろん、ご父母の皆様、高校生の皆様、そして企業の皆様。 雰囲気は目に見えるものではありません。しかしそれこそが戸板女子短期大学が多くの人を引きつけている理由なのだと私は思います。
 

授業というものは教員と学生とでつくり上げていくものだと思っています


▲ プライベートでの写真。日常の中にも発見や学びがあります。

 
授業は学生とコミュニケーションを取ることのできる貴重な場です。とくに私の所属する総合教養センターは、3学科を超えて学生に関わることができる非常に贅沢なセクションだと思っています。

2020年現在、私は「スタートアップ演習」「戸板ゼミナール」の必修科目のほか「日本語コミュニケーション」「文学と芸術」の選択科目を担当しています。学生時代の交友関係が貴重なものだという考えから、どの授業でもなるべく学科を越えて学生がコミュニケーションをとれるよう、3学科をできるだけシャッフルした座席で指定しているんです。

そんな授業での醍醐味は、学生の感性を間近で感じられること。授業は教員と学生とでつくりあげていくものだと思っています。戸板の学生さんたちは皆さん反応がよく、演習授業ではビシバシ指名していきますが、必ず何かしら反応してくれるんです。私の授業ではとくに「読んで、書く」機会が多いのですが、感受性の強い彼女たちの、無意識のうちにつづる美しい言葉に、心ふるわされることがあります。こういう発見がたまらなく貴重でありがたいです。

また、私が常日頃から心掛けているのは「どの学生にもできる限り公平であること」、そして「限られた時間のうちでできるだけ一人ひとりに真剣に向き合うこと」。

このごろは個に向き合うことが難しい時代になってきました。

社会がデータ化・自動化していく中でどうしても人同士の接点が減ってしまっています。技術の進歩は喜ばしいことですが、それにともなって個人に向き合わなくなってしまうのはいかがなものかという想いがあります。

せめて授業の中では、私なりに個に向き合いたいと考えています。

失敗・苦労から学んだ「人生の哲学」


▲ 一部上場企業の役員秘書を10年以上勤めた経験が今でも活きています。

 
私のモットーは、「初心忘るべからず」「笑う門には福来る」です。

何ごとも慣れてきたときが、一番危ないので気を引き締めて取りかからなければならなりません。そして、そんな中でもどのようなときでもユーモアの精神を忘れたくないですね。そういった私の価値観はこれまでの経験によって培われたものだと思います。

私は、大学を卒業してすぐにOLになりました。しかし一部上場企業の秘書課はぼんやりした私にとって厳しく、それはもう、さまざまな失敗の連続でした。

けれども、その失敗から多くを学べたのもまた事実です。担当した役員の方々には、本当に多くのことを教えていただきました。もちろん仕事上のテクニックについても多くを学ばせていただきましたが、それだけでなく、生きていく上で指針となる言葉もたくさんいただきました。

「AかBか選択に迷ったときは、自分にとってつらい方を選べ。その方が必ず、自分にとって栄養になる」

「命にかかわること以外で悩むな」

振り返れば、社会に出てから自分を支えてくれた言葉は、時を経ても役に立つ、普遍的なことだと思います。

10年以上秘書課におりましたがその後退職し、すぐに日本語教育の資格を取るため大学院へ入りました。そこで初めて「哲学」という学問と出会います。その出会いはとても衝撃的で、「こんなおもしろい学問が世の中にあったとは!!」と戦慄を覚えたほどでした。もっと早くにこの学問に出会いたかったと思いましたね(笑)。

大学院で日本語教育の資格を取るためご指導いただいた先生には、教師としてのイロハを教えていただきましたが、それはそれは厳しかったです。その先生はカリフォルニア州のバークレー大学で教鞭をとっていらっしゃいましたが、アメリカの学生投票で決まる授業評価の第1位を連続して何年も取られた方でした。

そんな先生に師事することで、教師としてだけでなく人生の哲学を教わった、といってもいいかもしれません。

自分の中にある「素晴らしいあなた」を発見してみてほしい


▲ 皆さんと向き合うことが私にとっても活力になっています。色々、お話しましょう。

 
これまで学生の皆さんは、「あっているか間違っているか」「マルかバツか」でものを考えてきた生活が長かったことでしょう。

社会へ出たら、それ以外の判断軸で過ごすことのほうがずっと長くなります。正解のない、マルかバツかで測れないことのほうが、これからの長い人生では、多くあります。「早く終えよう」「早くわかろう」とするのでなく、ぜひ時間をかけて、「内なる自分」と出会うことをしてみてください。

新しいことを知ることと同時に、すでに知っている問題についても、より深く明らかにしてみてください。人が成長するためにはまず、自らが不完全であることを知らねばなりません。自分が「あたりまえ」と思っていたことを、もう一度見直す機会を持ってみてはどうでしょうか。

自分が「見えている」と思っているときには物事の本当の姿は見えません。そして「大丈夫」と思っていてもうまくいかない。そのようなときこそ大事なものを見過ごしているんですね。

そういった意味で学生時代は「自分探しの期間」と言えるかもしれませんね。私自身もそうでした。自分で自分のことをもっと知りたくて、自分を試してみたいと思い、そのとき興味のあったスキー場でのDJや選挙のウグイス嬢、舞台の影アナウンス、物品販売……。チャンスがあれば片っ端からいろいろなことにチャレンジし、失敗を繰り返しては自分を試し、世の中でどれくらい通用するのか自身の可能性を測ろうとしたものです。

皆さんも授業を受けて、「先生の言わんとするところはなんだろう」という関心から、「授業を聞いて自分の中にわき起こってくることはなんだろう」と、自分自身の声に耳を傾けてみてください。

授業はきっかけにすぎません。授業で学んだことをヒントにして、もともと自分の中にある「素晴らしいあなた」を発見してみてほしいと思います。
 


 
 
 

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